9日に発表された日英共同声明。
日本と英国は国際的な諸課題について視点を共有する戦略的パートナーだ。
国際的安全保障についても緊密な協力を継続し、安保理改革の実現に協力。
英国は日本の安保理常任理事国入りを支持する。
大気中の温室効果ガス濃度を安定化させる国際的枠組み構築に協力する。
国際的な開発援助政策の継続、科学・技術・イノベーションについて共同研究の強化、等々、いかにも訪欧に効果があったように新聞には書いてあります。
おまけにブレア氏の後継と目されるブラウン財務相、野党保守党党首キャメロン氏と相次いで会見したことも記事になっていましたが。
この日英共同声明が英国国内でどう受けとめられているのか気になって、BBC world Service で記事探すのですが、見つかりません。サイト内を「Abe」で検索すると、訪欧出発直前の8、9日の東京でのインタビュー記事があるだけでした。
それもそのはず。
11日の毎日夕刊を見ると、今回の首相訪欧に関して現地メディアはかなり冷ややかな反応を示しているようです。英国の一般紙はブレア首相との会談内容そのものを報じていないらしい。
10日のBBCは、もっぱら下院で開かれた党首討論でのブレア首相の発言を取り上げていました。
英軍増強について訊かれたブレア首相は、米軍が駐留しているバグダッドとバスラの状況は異なる。拠点とするバスラで数か月前から展開してきた英軍の治安回復作戦は数週間以内に完了する、と説明したようです。
これに対して自民党党首ミンギス・キャンプベル氏は、「テロリスト(とBBCでは表記)」の活動がバグダッドからバスラに場所を移すことがないのを前提にしているだけだ、と懸念を表明し、いつになったら自主的な外交政策が期待できるのだ? と言ってます。
ちなみに、このミンギス・キャンプベル氏の党は、そもそものイラク派兵に反対した唯一の政党です。
これに対してブレア氏は、米国との「重要な」同盟をたてに米国追随を正当化したようです。
そして11日に発表されたブッシュ大統領のイラク新戦略を受けて、イギリスメディアは色々と喧しい。
11日付のデーリー・テレグラフ紙は、ブレア英首相が2週間以内にイラク南部に駐留する英軍7200人を3000人削減する方針を発表すると報じる。
BBCが伝えるのは、イギリスの永田町とでもいうべきウエストミンスターで、予想されるブレア首相の退陣に先立つ数週間までには、つまり5月までには、3000人までは削減されるという噂でもちきりなこと。
また、ブレア首相は、米軍の増派計画は英国の漸次的な兵員数減少の動きに何ら影響はないことを、時をおかずに示唆したことも。
が、これは有権者を安心させようとしているだけで、米国大統領の決定がドミノ効果をもたらす危険がある、とBBCのアナリストは言い、キャンベル自民党党首は「米軍の増派は(英軍のいる)南部の治安情勢を悪化させかねない」と警告します。
ブレア首相のスポークスマンは、これまでいわれてきた、英国の政策はホワイトハウスに決められてきた。ブレアにはブッシュについていくしか選択肢がない、 という「ブッシュのプードル」説を否定し、米国と英国の戦略は「つりあいのとれた」ものだ、と説明しているようですが。
さて、これだけ危惧されているブレア氏のイラク政策、もしかしたらドミノ倒しのように、バグダッドの米軍のみならずバスラの英軍まで危機に陥るのではないか、と心配されているにもかかわらず、日本と英国は「視点を共有する戦略的パートナーだ」と宣言するのは何を意味するのでしょうか?
なにしろ私たちの国も、イギリスに負けず劣らず、外交に限らず内政までホワイトハウスに決められています。
いったい何のために、アベ首相はイギリスへ、そしてヨーロッパ歴訪へ出かけたのでしょうか?
と考えている矢先、ブリュッセルのNATO本部で演説をする首相の姿がテレビ画面に映されました。昨年、麻生外相が、日本はNATOの重要性を発見したからNATOも日本の重要性を発見してくれ、と演説した所と同じでしょう、きっと。
「憲法の諸原則を守りながら、日本人は国際社会の平和と安定のためなら自衛隊が海外での活動を行うことをためらわない」と述べていました。この言葉の先には、憲法を作りかえることが当然あるのでしょう。
少々上気した様子の、あどけないようなお坊ちゃんっぽい表情。戦争をする国がそれほどまでに夢だったのか、と愕然とさえしてしまいました。
まさか、まさか、日本がNATOの準加盟国となること、英国に代わって日本がイラクで米国を応援すること、そんなことにはならないでしょうね?







