世界で一番危険な国は米国。
イランよりも北朝鮮よりもどこよりも米国が危険、という世論調査の結果がヨーロッパで出たというニュースを最近見ました。どこで見たか忘れてしまったのですが。
ストックホルム国際平和研究所が発表した2006年の世界の軍事支出・主要国の武器売り上げ総額でも、米国はダントツの1位でした。
「原爆の使用が終戦をもたらし、連合国側の数十万単位の人命だけでなく、文字通り、何百万人もの日本人の命を救ったという点では、ほとんどの歴史家の見解は一致する」 という米国特使の核軍縮枠組みづくりに関する会見での発言に見られる見解は常々疑問視されてきました。
「何百万人もの日本人の命を救った」という点でも「ほとんどの歴史家の見解に一致する」という点でも、これまで再三にわたって誤りが指摘されています。
それでも、まだ懲りずによく言いますよね。
イラクのように自国が米軍の直接的な脅威にさらされていなくても、日本には世界一狂暴で貪欲な米国の触手がすでに伸びているのは、ネットの世界では結構知られています。
残念ながら、リアルの世界ではまだまだ認知が足りません。
さすがに牛肉については変だ、と考えている人は多いのですが、日本の富が収奪されることとコイズミ・アベ政権の施策を結びつけて考える人はけっして多くないと思います。
その点では私は少々悲観的。民営化ユートピアを信じている人がまだまだ多いという感触です。
3日、イラク政府は「石油法の改正案」を議会に送ったと伝えられています。
「改正」といっても、これは日本における自公政権のいう「改正」とまったく同じ。国民にとっては「改悪」になっています。
AFPには
「原油輸出からの収入を国内18の県に公平に分配し、海外資本に石油、天然ガス分野を開放することを目的とする。米国政府は、この法案に関し、イラクの宗派抗争を終結させる重要な『ベンチマーク(基準点)』になると強調する」
とあります。
ところがこちらによると、今年の2月、この新イラク石油法・石油出資法に対してバスラの石油労組連合は、反対声明を発表したそうです。
「外国企業による石油支配を拒否する。新石油法がもし議会を通過するなら、イラク石油労組とイラク労働者は巨大なストライキで答えるだろう」と。
新自由主義は新植民地主義だ、と喝破するカナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインはこの新石油法について、
「新植民地主義の第1段階は、未加工資源の収奪、つまり未加工資源の輸出。
現在閣議は通ったが議会は通っていない新石油法では、この収奪が合法化されている。
これはまさに、1950年代から70年代にかけてのアラブナショナリズムの波、資源の返還要求が出てきた状況であり、アラブ・ナショナリズムの旗印の下に築かれた産業・工場の収奪であり、90年代の旧ソ連で見られた矢継ぎ早に実施されたショック療法型露天掘り収奪であり、イラクの『プランA』だ」
と言ってます。
つまり第2次世界大戦後のアラブナショナリズムの高まりで米欧石油メジャーを生産現場から追放し、価格決定権を握った産油国は、その権利を再び取り上げられようとしているわけです。
そのことを、イラク人自身は、
「国営で発掘運営され公平に分配してきた15年前からのシステムを今の政権が行なおうとしているシステム(註・それぞれの地域が外資を導入して行なう民営化による石油開発)に変えるのは問題です」
とこちらで語っています。
おまけにその法案の内容はイラク国民に知らされていないとか。
憲法改正についても同じだった、「多くの国民にとって重要なことなのに、僕たちはそれについて内容を知らされずイエスかノーかという選択を与えられただけでした」
とも述べられています。
どうでしょうか? こんなことを聞くと、日本の私たちの状況とそっくり同じだと思いませんか。
いくら自衛隊が行こうと、遠い海外。
米軍とそれを支える民間軍事会社PMC、そして多国籍軍に蹂躙されたイラクの話しは遠い国のできごとで、人ごとのようです。
でも私たちの国は軍事的暴力こそふるわれていないものの、政治的・経済的暴力はこれからもっともっとひどくなりそう。
憲法問題でも、審議を尽くす姿勢が自公政権には見られません。できることなら、Yes か No かだけを問いたい、という本音がありあり。
実際2年前、コイズミ純一郎率いる自公政権が、郵政民営化、Yes か No か、だけで選挙を戦って大勝利を収め、今日の惨状を招くきっかけをつくりました。
自殺者は毎年3万を超え、非正規労働者の割合は高くなる一方で、社会福祉への予算配分は減る一方でしょう?
これまで国土と国家予算を米軍に捧げ、ここに来て生命を捧げることも、ついそこまで迫ってきています。
互いに憎悪を煽る昨今の社会の風潮もイヤです。
憎悪を煽って利益を得る人はいつの時代でも存在します。
分断して統治せよ――これが宗主国の植民地統治の鉄則。
イラク新石油法制定の口実に宗派間の対立解消が挙げられています。
そもそもイギリス女性ガートルード・ベルがイラクとイランの国境線を引いたとき、イラクの統治はイギリス人顧問団と王家とスンナ派にゆだねられました。そこでアラブ系の族長たちは、ペルシア系が優勢なシーア派のイスラーム法学者たちへの反感を煽られることになるわけです。
伝えられる宗派間対立というものは本当なのだろうか、本当だとしてもイラクの人々自身はそんなこと望んではいないんではないか? というのがいつも消えない私の疑問です。
案の定、欧米資本による民営化という植民地収奪の試みを許す新石油法提出の口実になりました。
日本収奪の口実は何だったでしょうか。
とにかく「規制緩和」と「改革」を旗印にも武器にもして乗り込んできたのがグローバリズムという米国流新植民地主義の論理で、その先鞭役を務めたのがコイズミ・竹中ラインでした。
竹中平蔵の代理と言われる大田弘子氏は、アベ独断国会での矢継ぎ早の問題法案成立の陰に隠れていったい何をしているのだろうか、と気になります。
コイズミ氏も新防衛相の小池氏も、地道に政策を勉強するのは大っきらいタイプとお見受けしました。
TPOに合わせたスタイルに腐心し、権力の海を巧みに泳ぎ渡る才能は別なところで発揮していただいた方が国民にとって幸せではないか、と思いますが。
↓ とりあえずガスパーチョさんからお借りしました。

