あああ、いわんこっちゃない、と心の中で呟く。

 今日の毎日朝刊。
 世界陸上、エリトリア選手団の5人が、開幕2日前の23日、指定先のホテルで部屋が確保できずに、ラウンジの床に毛布を敷いて夜を明かしたという。
 その後の24、25、26、そして27日昼まで、見かねて空きベッドを提供した隣国ジブチの選手と相部屋だったそうだ。 
 
 エリトリア
 1993年にエチオピアから独立した紅海沿岸の細長い小さな国。西隣はスーダン。
 ジブチは東隣のさらに小さな国で、1977年にフランスから独立している。

 ジブチの名は聞いたこともあるけれど、エリトリアという名は初めて知った。
 両国ともれっきとした国連加盟国だ。

 中国から贈られた建造物が、花博後壊れるがままにされていた話しは、イベントよりも大事なことで数日前に書いた。時はちょうどオリンピック誘致活動を盛んにやっていた1992(平成4)年のこと。このオリンピック招致の計画については、湾岸開発の失敗隠しに画策されたのではないか? と問題を投げかけているサイトもある。

 結局大阪市は招致に失敗して、公式発表で53億3200万円の税金を無駄にした。公表額がこれだから、実際はもっと使われたと考えてもおかしくはない。

 それから15年後の今年2月、世界陸上の準備作業の一つか、長居公園からホームレスたちのテントが強制撤去された。またこの時大阪市の行った手続きが法的要件を満たしていない可能性を指摘する専門家もいたほど、無茶な処置だった。

 その上ホームレスの人たちの尊厳を護るべく活動していた人を、予防拘禁にも等しい、聞いたこともないような軽微な罪名で逮捕。

 その結果がこれだ。アフリカの選手が、大会を前にホテルの床に毛布を敷いて寝る。

 当事者でなくとも腹が立つし、恥ずかしい。

 誰のための、何のための世界陸上なのか。

 大会を運営する組織委員会の名簿を見ると、お偉方の名前がずらーっと並ぶ。

 最高顧問は森喜朗・御手洗富士夫の両人。

 理事には河野洋平から大田房江知事、關淳一市長、市議会議長、他日本陸上競技連盟関係者のみならず経団連、電通、経済同友会、商工会議所、毎日放送の関係者。
 目を引いたのは、理事の1人に吉本興業社長の名があったこと。ふ~ん、そんなものか……。
 
 この世界陸上。特需が期待されて、経済効果は210億円と試算されていると報じているのは
FujiSankei Business
65億人を魅了する世界陸上の舞台裏」を伝えるところもある。

 競技をする選手も素晴らしいが、競技を支えるIT技術もすごい。

 熱い闘いを繰り広げるアスリートたちには惜しみない拍手を送りたいが、それにしても裏方がひどすぎる。
 ボランティアたちの掲示板では悲鳴が聞こえてくるようだ。

 いくら競技場の周りからホームレスたちのテントを無理やり撤去して小ぎれいにしても、ホームレス支援の有志たちが抗議行動を起こさないように予防措置を講じても、ボタンの掛け違いが最後まで影響するように、混乱している。
 いくらIT技術がすごくても、結局最終的な力は一人ひとりの力の結集だ。
 
 人の命やその尊厳を軽視するような姿勢で良い結果の生まれるわけがない。
 
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