今日2月7日のBBCニュースで知りましたが、世界34カ国の市民34,500人を対象にしたグローバル化についての世論調査の結果が発表されました。
タイトルは「経済グローバル化への不安広がる」。
「世界34カ国のうち22カ国で、貿易・投資を含めて経済のグローバル化の進展が速すぎる、という意見が多かった。平均すると半数の人がそのように考える一方で、35%は遅すぎる、と答えた」
「G7先進国首脳会議の国々――蔵相会議が今週末に開かれる――では、平均して57%の人が速すぎると答えた」
という言葉で始まる調査報告書をBBCの記事を元にしてまとめてみました。
この世界世論調査はBBCワールドサービスのために、国際世論調査企業Globescan社が面接か電話によるインタビューにより、メリーランド大学の世論調査を専門に研究する部門The Program on International Policy Attitudes (PIPA)との共同で、先頃の世界的な株価下落が起こる前の2007年10月31日から2008年1月25日の間に行った。
34カ国は次の通り。
アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コスタリカ、エジプト、エルサルバドル、フランス、ガーナ、ドイツ、イギリス、グアテマ ラ、ホンジュラス、 インド、インドネシア、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、レバノン、メキシコ、ニカラグア、ナイジェリア、パナマ、フィリピン、ポルトガル、ロシア、 韓国、スペイン、トルコ、アラブ首長国連邦、アメリカ
(34カ国のうち16カ国は、サンプルが主要な都市部に限られていた)。
1.世界の市民の64%は、経済成長の恩恵を公平に受けていないと思っている
だいたい、世界中の市民のうち64%が、経済成長の恩恵を公平に受けていない、と考え、34カ国中27カ国でその考えに賛成する人の方が多数である(上の円グラフ)。
この例外の一つが、この10年で年10%を超える桁外れの経済成長を経験してきた中国だ。エコノミストは農村部と都市部の格差が急速に広がったと説明する が、ほとんどの中国人は、公平に経済成長の恩恵を受けてきた、と答える。(ただし、中国での調査は都市部のみで行われた。農村部が含まれていたら、また 違っていたかもしれない)。
中国の一般の人たちはグローバル化の速度に強い関心を持っているが、それはシャンハイのような都市の物理的・社会的景観が急激にめざましい変貌を遂げているからだ。
2.グローバル化に対する不安の強さは、経済成長の果実の分配が公平に行われていないと考えることと密接に関連しているが、富める国と貧しい国とでは、グローバル化の進み具合に対する評価が異なる
(赤:グローバル化が速すぎる 黄:遅すぎる)

(赤:経済成長の果実と痛みの分配は公平になされている)
(黄:公平になされていない)

概してアメリカ、フランス、ドイツ、イギリス等、世界でもっとも豊かな国々で、グローバル化に対する不安がもっとも強い。これは、経済成長の果実の分配が公平に行われていない、と考えることと密接に関連している(上の二つの棒グラフ)。
(日本はこのグラフには載っていないが、速すぎる:50% 遅すぎる:14%)
これに対して、世界の最貧国の多くでは、大多数が経済発展の恩恵と痛みが公平に分担されてこなかったのはグローバル化の進展が遅すぎるからだ、と答える可能性の方が強い。
一部の発展途上国では、グローバル化に拍車がかかれば、自分たちの国の不公平な状況を多少でも打ち破るのに役立つのではないか、と考えられているようだ。
グローバル化と経済成長の果実の分配をこのように捉えるのは、フィリピン、インドネシア、ブラジル、ケニア、メキシコに強く見られる。
3.自分たちの国の経済状況は、グローバル化によって悪化した、と考える市民の方が多い
自分たちの国の経済状況が良くなったと答えたのは、アメリカでは市民のたった22%で、78%の市民が悪くなったと答えた。
フランス、イタリア、日本はみな悲観的で、良くなったと答えたのは、フランス人の22%、日本人の34%(BBCの記事では33%となっているが、調査結果を見ると34%)にすぎない。
対照的に中国、ロシア、カナダ、オーストラリア、アラブ首長国連邦では楽観的な見方が見られるが、みな経済成長増大の恩恵を受けている国々で、ひとつには原油と鉱物の商品価格が上昇した結果でもある。
(良くなったと答えたのは、中国84%、カナダ72%、オーストラリア71%、アラブ首長国連邦69%、ロシア63%、インド56%)
富める国々の間でも、グローバル化への関心は、発展の社会モデルを好むフランス、スペイン、イタリア等の西ヨーロッパの国々でもっとも強い、ということが目をひく。
アメリカやイギリスといった「アングロサクソン型経済」をとる国の方がグローバル化への関心がいくぶん弱いのは、フランス、スペイン、イタリア等と比べて経済成長の減速が速く、不平等も先鋭的に増してきたからだ。
*追記:
ちなみに日本の場合を見ると(面接による全国的な調査なのでかなり信頼できそう)、
国内経済について;
非常に良くなった1% 少し良くなった33% 少し悪化した33% 非常に悪化した12%
(残りの21%は、「状況次第」「変わらない」「分からない」「答えなし」 これはインドの31%に次いで多い)
世界経済について;
非常に良くなった1% 少し良くなった26% 少し悪化した35% 非常に悪化した6%
(残りの32%は、「状況次第」「変わらない」「分からない」「答えなし」)
経済的恩恵は公平に受けられているか;
非常に公平だ1% 少し公平だ11% 少し不公平だ51% 非常に不公平だ33%
(残り4%。実に84%が不公平だ、と答えている)
グローバル化の速度について;
速すぎる14% 少し速すぎる36% 少し遅すぎる11% 遅すぎる3%
(残り36%)
*経済成長の恩恵と痛みに対する不公平感を感じている方が多いのは、34カ国中、27カ国ですが、恩恵を享受している人が多そうな国と、痛みを負っている人が多そうな国とが極端に別れています。

このグラフで青色系が公平だという人の割合、暖色系が不公平だという人の割合です。
ぱっと見ただけでも、世界中で不公平感を抱いている人がどれだけ多いか分かりますね。
特にアジアでは韓国、日本、フィリピン、中南米諸国、西ヨーロッパ、産油国でない中東の国々がひどい。
目をむくほど公平感が行き渡っている(72%)のがアラブ首長国連邦。いわずと知れた産油国です。
その下の公平感と不公平感がほぼ拮抗しているのがエジプト。産油国でもないのになぜ? と不思議に思ったところ天然ガスの輸出等で経済は好調のようで、成長率は年6%以上で推移しているとか。
不公平感が強い、とは要するに満足していない人が多いということでしょう? 資源のある国とない国がこうも歴然としている有様があまりに単純なので面食らうほどです。
そしてこの不公平感・不満足感の強い国々の中でもメキシコ、ブラジル、ケニア、インドネシア、フィリピン、トルコ等の途上国は、いずれもグローバル化の速度が遅すぎると考える人の方が多数です。
程度の差こそあれ、グローバル化に何らかの期待を抱いているということでしょうね。
私たちの国もコイズミ純一郎氏が“改革”を煽り立てていた頃は、まだ同じような期待感を持つ人が多かったのでしょうが、今では不公平だ、グローバル化が速すぎると考える人の方が圧倒的に多数です。
グローバル化が速すぎる(50%)し、そのうえ成長の果実も痛みもとても公平に分け与えられているとは思えない(84%)、と私たち日本人の多くが感じているというのに、国会答弁に立つ閣僚たちのなんと脳天気な言葉。
8日朝(、偶然眼にしたNHKの国会中継。
今年度から10年間で59兆を費やして道路中期計画を実施していくという話ですが、計画を立てる際の資料は、なんと1999年の道路交通センサスだそうです。
すでに国土交通省のHPでは2005(平成17)年の各種統計が閲覧可能というのに、なぜそれを利用しないのか、という野党議員の質問に、統計を元に計画をたてるのには手間暇時間が3年もかかるのだ、という冬柴大臣の答弁でした。
これでは、国会ではただ審議の時間をやり過ごすのが大臣の仕事か!? と思われても仕方ないでしょう。

