米国に反旗を翻す南米:米国・コロンビアvsエクアドル・ベネズエラ
↑昨日の夜のBBCニュースの速報。
映画ロードオブウォーの主人公ユーリーのモデル、“死の商人”ヴィクトー・バウトがタイで捕まりました。
この人については以前記事にも書いていたので、びっくり。
コロンビアの反乱軍に武器を売った容疑でアメリカが逮捕状を出していたようです。
2002年にベルギー政府とインターポールが追っていたときは、ロシアに逃げていましたが。
(日本のテレビではモザイクのかかる腕にかけられた手錠ですが、BBCではそのまま、ありのままですね)。
でも、バウトばかりが悪いのか? という思いが頭をよぎります。
「自分が1年間で取り扱う銃を、合衆国の大統領は1日で売ってしまう。冷戦後の(冷戦前も)各地の紛争に使用される武器はすべて、米・仏・英・露・中という国連安保理常任理事国でつくられている」と映画の中でユーリーは語ってましたね。
で、コロンビアといえば、最近は隣国ベネズエラのチャベス大統領が左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)に資金支援しているとして、国際刑事裁判所(ICC)での訴追を目指す意向を表明したばかり(東京新聞3月5日)。
ベネズエラは2日、コロンビア政府軍がFARC掃討作戦の過程で1日、友好国のエクアドルに越境、侵入したことに抗議し、コロンビアとの国境に軍 を派遣するよう命じた。3日にはベネズエラ駐在のコロンビア外交官全員の追放も決定し、両国関係の一層の悪化は避けられない見通しだ。
ロイター通信によると、ベネズエラ側はコロンビアとの貿易も制限し始めたという。
コロンビア警察当局は、越境攻撃でコロンビア政府軍が殺害したFARC最高幹部の所持品の中から、チャベス大統領がFARCに3億ドル(約310億円)の資金を支援していたことを示す書類が見つかったと指摘していた。
4日にはブッシュ大統領が議会でコロンビア指示を明確にするために同国との自由貿易協定(FTA)を早期に承認するよう求めたとか。
で、エクアドルといえば「エコノミック・ヒットマン」の餌食になった国として記憶にあり、世界銀行から巨額の資金を借り入れたために、資源に恵まれながらも国民の大多数が貧困に苦しんできたところ。
2006年の大統領選で、ラファエル・コレアはアメリカの押す右派で大富豪のノボアを大差で破り、当選しました。
コレア大統領は圧倒的な民衆の支持を受けて、世界銀行からの債務帳消し政策を推し進め、二万四千ヘクタールの広大な土地に広がる米空軍基地を貸与協定の期限が切れる2009年にはこれを打ち切ろうとしています。
もちろんアメリカにとってこれは大損害ですから、なんとしても阻止しようとしているのでしょう。
バウトの逮捕は米国麻薬取締局(DEA)、インターポール、タイ警察の3者が関係したおとり捜査の結果であることがアルジャジーラで伝えられています。
非合法の武器商人として世界中でから追われていたこの人は、モスクワからバンコクに飛んだ木曜日にホテルで捕まったわけですが、タイを非合法の武器売買の基地として使う計画を立てていたことが容疑なのだとか。
アメリカの引き渡し要求を検討する前に、タイで裁判を受けることになりそうです。
テロリストへの武器調達の罪が認められれば、再考10年は入獄ということになる、とはタイ警察の話し。
近年南部で爆破や襲撃事件が相次ぐタイのことですから、当然神経をとがらしていたことでしょう。
一方米国は何10億ドルもの軍事援助をコロンビア政府に行っていて、コロンビア政府はコロンビア革命軍Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia,FARCと戦っている、という図。
このFARCにバウトを武器を売り込んだ、というわけです。
FARCはコカインと誘拐で得た資金で軍事作戦を遂行、といわれているのですが、もう40年もの間政府軍と戦って農民の支持を得ています。
これも、新自由主義=新植民地主義の嵐が吹き荒れ、米国が後押しする軍事独裁政権等が政権を掌握する中で、大多数の人々が貧困に苦しんできた南米の事情があってのことでしょう。
「解放の神学」も、この南米で生まれたものでした。
(こちらのBBCニュースによると、コロンビアは米州機構の中で孤立をしているようです。
ただし、エクアドル、コロンビア、ベネズエラは重要な貿易パートナーなので、まず、戦争になることはない。エクアドル領内にはコロンビア人が、コロンビア領内にはベネズエラ人がそれぞれ何万と住んでいる、ともいわれています。
こうなると、コロンビアも加わって“合従”の策、とはいかないのでしょうか?)
米国と手を結ぶ、ごく一部の富裕層が政治経済の実権を握ってほしいままにする一方で、たとえばエクアドルでは国民の70%が貧困層といわれています。そこに人々の期待を担って登場してきたのがコレア大統領。
米国は、これまでのツケの精算を一気に迫られています。
ところで、バウトが逮捕される2日前、足元の米バーモント州にあるブラットルボロとマールボロの2つの町で、ブッシュ大統領とチェイニー副大統領を憲法違反容疑で逮捕する可能性がある措置を可決したといわれています(3月6日産経ニュース)。
この措置とは、大統領と副大統領の起訴を正当に行うことができる関係当局に2人を引き渡せと、町の警察に命じている、と伝えていますが。
こうした町議会での可決が実質的な意味を持たず単なる気休めに過ぎないにしても、7年以上にわたってこの超大国の舵取りをし、いよいよ世界の混迷を深めさ せてきたブッシュ-チェイニー・コンビに、米国国民でもNO! を突きつけているニュースは、やはりちょっとうれしくなります。

