前々日のエントリー「郵政民営化、半年後の波及効果は?」で、JMMの編集長村上龍氏の質問「郵政民営化から約半年が経過しましたが、どのような波及効果があったのでしょうか」に対する金融専門家6人の見解を纏めたのですが、そこから見えてきたこと。

 とにかく現状では単に看板が掛けかわっただけで目に見えるほどの波及効果はないようですが、2017年9月末までの完全民営化に向けて、静かに事態は進行中、というところでしょうか。

 関心は、郵便事業会社、郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険という4つの事業会社それぞれの合理化・効率化とともに、ゆうちょ銀行・かんぽ生保の巨額の資産の運用、という2点に絞られていくようです。

 事業会社自体の合理化・効率化に対して、真壁氏は「これまで合理性の原理が通用しなかった部分に、少しずつ経済合理性の考え方がしみ始めている」という表現にとどまっていますが、津田、土居両氏は「リストラ」という言葉を使って合理化を達成すべきことをいい、真壁・杉岡氏両はリストラをほのめかしている、と私はとりました。

 不思議なのは一番合理化を言い出しそうなメリルリンチ日本証券の菊池氏が、“合理化”に言及していないこと。
 強いて探せば、「今後、株式が市場売却されて株主が変われば、日本郵政は政府より株主を向いた経営を行う必要があります」という表現の中に、何か隠されているかなのかもしれませんが。

 もっとも、リストラは業績内容を見ながらの実行ということになるのでしょうが、業績について楽観的な見通しをしている人はいません。
 楽観も悲観もしないで、民営化に夢を持たせているのがメリルリンチの菊池氏と慶応大の土居氏でしょうか。

 ただ、菊池氏がポーカーフェースっぽく淡々と現状を語るのに対して土居氏は危機感をむき出しにしています。
 改革反対派から骨抜き工作にさらされようとしている、とか、後期高齢者医療制度のように国民の批判が高まっていないうちに郵政民営化を徹底させるべきだ、とか、述べて。

 竹中氏の危機感と共通する、と思って検索しますと、どうも土居先生の尊敬する先輩が竹中先生のようで。こちらでもご一緒の姿が。
 また、財務省にも研究成果をいろいろと提供している先生のようです。

  杉岡氏の、もともと資金量と職員の規模をそのままに維持した民営化そのものからさまざまな矛盾が生じている、という指摘を見ると、あのコイズミ純一郎氏の 大声で決まったような郵政民営化が、有権者の賛同を得るためにかなり無理な筋書きを描いたのではないか、有権者は誤魔化されたのではないか、という疑いを 捨て切れません。

 そしてこれからの資産運用についての山崎氏の、過大なリスクとコストを掛けて無理をする → 業績悪化に株価が過剰反応 →  外資にとって美味しい買い物となる、という事態に陥らないようにしっかり監視することが大切だ、という警告を読むと、りそなとかなんとかいう日本の金融機関が辿ったストーリーを思い起こします。

 なお、山崎・津田両氏が、そもそも現在の機能不全の政治を招いたのが2005年のいわゆる郵政選挙だ、と言っているに同意する人も多いのではないでしょうか。

 憲法違反の疑いもありましたし、詐欺同然の手法で衆院の絶対安定多数を獲得したコイズミ政権以降、どれだけ無茶な政治が行われてきたことか、と憤りふたたび、です。

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