17日のテレビ朝日で、「福田康夫首相の無味乾燥な話より、麻生さんのような面白い話が受けるに決まって いる」「わが党も麻生人気を大いに活用しないといけない。『次は麻生さんに』の気持ちは多いと思う。私も、もちろんそう思っている」 などと、森喜朗元首相が述べたらしい。

 日本の人気政治家が野党をナチス呼ばわりした、と世界中で呆れ笑われたばかりのところにこれだ。
 大衆受けのする“面白い”話のできる人が首相にいいなんて世界中に発信されれば世界の良識が仰天するような、またまたはずかしい発言だと思う。
 
 もう、これ以上、恥をさらしてほしくない。

 この森喜朗氏を見るたびに、かつて支持率最低の内閣を率い、うっかり本音を漏らしてしまったこと数限りないこの方がそもそも首相になったこと自体、私たちの国の不幸ではないか、と思ってしまう。日本の政治の不毛を象徴する人物だ、と思う。
 
 そしてもうひとつ。
 今日のNHK早朝のニュースによると、公務員制度改革の重要なテーマを審議し福田総理大臣に助言する「顧問会議」のメンバーが決まったらしい。
 NKKEI NETによると15日にすでに発表になっていたようだけれど。

 で、メンバーは、

  御手洗冨士夫(日本経団連会長)、桜井正光(経済同友会代表幹事)、岡村正(日本商工会議所会頭)、麻生渡(全国知事会会長・福岡県知事)、高木剛(連合 会長)、堺屋太一(作家・元経企庁長官)、佐々木毅(学習院大学教授)、岩田喜美枝(資生堂副社長)、川戸恵子(TBSシニアコメンテーター)、田中一昭 (拓殖大名誉教授)、屋山太郎(評論 家)らとのこと。

 こうした顔ぶれを見ると、もうそれだけでどんな諮問になるか想像がつきそう。

 で こちらですでに紹介済みのトーマス・フランクさん。このかたの保守と産業に関する指摘が思い出される。

「保守主義の本質は運動であると同時に産業である」。

 日本会議などが繰り広げてきた運動を考えてみれば、肯ける。私たちの国の場合、保守化運動というより“復古運動”だが。
 産業として成りたっているものの中には、本屋にうずたかく積まれたいくつもの右派系雑誌などが思い浮かぶし、さまざまな保守団体が企業に自分たちの出版物等を高く売りつけて資金を稼ぐのも思い出す。
 故瀬島龍三らが産業界に根を張る一方で日本会議を引っ張ってきたことも忘れられない。
 保守団体の資金は潤沢だろう、と思う。
 
 そしてフランクさんは「最良の公僕は最悪の公僕」という言葉を紹介して、行政に、有能な人は要らない、という産業人の基本姿勢を指摘。

 この言葉は、クーリッジ政権という大恐慌前夜での米国商工会議所会頭の言葉。
 行政が機能して市民サービスが行き届けば、人々の行政に対する期待はますます大きくなって広がる。そうなると産業は衰退するしかない、という考え。そこには、「小さな政府」で結構、行政の市民サービスなど不必要だ、という経済人の姿勢が読み取れる。

 とりわけコイズミ純一郎政権からこのかた、こうした姿勢の“有識者”が私たちの国では幅を利かせてきた。この公務員制度改革に関する顧問団も、そんな有識者たちの姿勢を体現している人たちの集まりといえそうだ。

 いってみれば、社会保険庁に代表されるダメな役所づくりを許しておけば国民は愛想を尽かす。その時が民営化のチャンスだ、と儲けの機会を虎視眈々と狙ってきたということ?

  もともと、市民生活に必要だけれど利益は生み出さない、あるいは利益を生み出す必要はない、というものが行政の手に託されている。それを民営化してしまえ ば当然利益を生み出す必要があるわけで、民営化の結果、誰が得をして誰が損するか、有権者/納税者の目に明らかになったときは、事態はかなり進んでいる。
 元に戻すことは不可能ではないけれど、かなり困難だ。

 かくも狡猾・巧妙な人々。私たちは気の休まる暇がない。

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