とむ丸の夢

つぶやきSeptember 14, 2008 3:12 pm

日本もとうとうそんな国になってしまったのか、とちょっと驚いた、昨日13日の朝日の記事「安心買った塀の街」。

 日本初とされるゲーテッド・コミュニティ(要塞の街)が兵庫県芦屋市にできたのだそうです。
 甲子園球場のグラウンドの1.5倍の敷地に高さ約2mのフェンスに赤外線センサー、監視カメラ数十台。
 正面ゲートには警備員が数人、24時間体制で見張っているとか。

 1区画400~1,000㎡の広さの土地は1憶~3憶円といいますから、まあ、普通は買えませんね。

 購入者のひとりは、80年代に米国サンフランシスコ近郊のこうした街に住んで、その「安心感が忘れられない」といいます。

 もうひとつのゲーテッドは、岐阜県。夫は会社員で妻はパートといいますから、ふつうのサラリーマン家庭かもしれませんが、それでも周辺の相場よりも1,000万高い4,000万~5,000万円の分譲価格だとか。

 親は子どもと、子どもだけではゲートの外に出ないと約束しているらしい。

 二つのゲーテッドは、どちらも米国がお手本のようです。

 芦屋の方はマリーナまでそろえているという話し。
 プライベートビーチと同じようなものですか。

 昔、「どこの国でも海岸沿いにはその国で大切にされているものが建てられている。日本の海岸は工場地帯に占められているから、工業が大切にされているのだ」とどこかで読みました。

 そうだ、海はみんなの財産だけど、確かに工場が並んでいて、私たちは自由に海岸に出られないなあ、と子ども心にそれがやけに胸に焼き付いて、今だにこんな話しを聞くと思い出します。
 そんな私たちでも、東南アジアの海沿いのホテルにでも泊まったりすると、プライベートビーチを喜々として利用したりして、逆な立場を味わうことになります。

 で、プライベートビーチよりも何よりも、“要塞化した街”の最たるものが、イラク、バクダッドで米軍とイラク暫定政府が立てこもる「グリーンゾーン」です。日本大使館の分館もそこにあるといいます。

 巨大なコンクリート・ブロックを組み合わせた防御壁を幾重にもめぐらし、8つの検問所を通ってやっと新生イラクの統治の中枢、イラク暫定統治機構CPAに、現在はイラク正式政府にたどり着けるのだそうです。
 
 塀の内側がグリーンゾーンで、外側はレッドゾーン。 

 おまけに、グリーンゾーンはイラク国内の至る所に見られ、米軍の発注で製造した馬鹿でかいコンクリート・ブロックは15万個にのぼると、パトリック・コバーン著『イラク占領』で言われています。

 まあ、私の子どもの頃から「アメリカナイズ」という言葉が存在してまして、もっぱら批判的な文脈で使われていました。
 マーケティングという点からは“差別化”とでもいうのかも知れませんが、ゲーテッド・コミュニティは、いわば町のアメリカナイズされた形のひとつでしょうか。
 
 ゲーテッド・コミュニティがグリーンゾーンで、外の世界がレッドゾーンと色分けできる社会って、いったいなんだろう?
 こんな国に誰がした?

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戦争・平和 10:39 am

これも朝日の投書。
 17歳の高校生が、留学先の米国で仲良くなった友人のことを案じていました。

 アフリカ系アメリカ人のその友だちは、成績優秀だったが、家の経済状態を考えて軍隊に入ると決めたのだとか。

 話しに聞いていたとおり、任務が終われば大学に行く費用は軍が出してくれるよ、と誘われたようです。

 それについて、こんな話しをその高校生は書いています。

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私が通っていたメリーランド州の公立高校では、卒業が近づくと軍服姿のリクルーターたちがカフェテリアにまで入り、笑顔で入隊の勧誘をする。最前線の兵士を確保するのに必死なのだ。決まったブース内でしか動けない一般企業のリクルーターより優遇されていると感じた。

 

 漠然と知っていたことが、こうして具体的な形で伝えられると、あらためてアメリカ社会の苛酷さに衝撃を受けます。

 教育現場そのものが、軍のリクルーターを優遇しているわけですね。

 日本人留学生にいろいろと親切にしてくれた心優しい青年が軍隊に入り、どんな経験を重ねて良き兵士としてイラクやアフガニスタンに赴くか、その将来のことを考えずにはいられません。

 ベトナム戦争当時、貧しさゆえに海兵隊に志願しベトナムに従軍したアレン・ネルソンさんは、帰還後ホームレス生活を経て精神科医の治療を受け、自己と格闘し、15年の歳月をかけてPTSDを克服しました。
 
「人を殺すたびに、心の中の、何か大切なものが死んでいくのを感じました」と語るネルソンさんは、帰還したとき母親に、「お前は私の息子じゃない!」と言われたそうです。

 人を殺すたびに心の中の大切なものが死んでいく。そうやって心が壊されていく。
 一兵卒にとって、戦争なんていいことなんか何もない。

「戦場で殺し合いをするのは、貧しい庶民同士です」とも、ネルソンさんは言います。

 それはギリシアの昔からそうだったようです。おそらく、ギリシアよりももっと前から。

 ホメロスの『イリアス』には、故小田実さんによると、怒って人間に罰を下すアポロンの矢は、大王や英雄には当たらず、犠牲になったのはいつもただの兵士だったとか。
『イリアス』を私は中学生頃読んだままで、次のような詩はとんと忘れてしまっていたのですが。

   「彼(神官)が祈り、話したのをポイボス・アポロンが聞き、オリユムポスの頂から心底怒って降りて きた。……からだの動きにしたがって、夜のように彼は動き軍船の列から離れて陣取って、列のまっただなかに矢を射放った。……矢が襲ったのは騾馬ども、次 いで足速い犬ども、さらには兵士ども、彼らを狙って、切っ先鋭い矢は飛んだ。あと屍を焼く火は絶え間なく分厚く層をなして燃え上がる」

 アポロン神の怒りの矢は、まずラバを狙い、次に犬、そして兵士たちに向かったわけです。怒りの元となったギリシア方総大将アガメヌノーンには向かわなかったわけです。

 あんまりにも、悲しいではないですか。

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