まるで熱病にかかったように、民間にできることは民間で! の合い言葉を口々に唱えて投票場に人がなだれ込んでからもう3年。
 あの時、郵便局の 民営化がいいのかどうか、わから~ん、と年寄りは困り顔で知り合い同士互いに訴えてましたが、コイズミ純一郎氏に同調したもの同士、互いを求め、民営化賛 成の意思を確認するかようにしゃべり合っていた光景は、私の周囲ではどちらかというと若い人に見られました。

 だって、民間にできることは民間に、ってみんな言ってますよ、とか私も言われましたっけ。
 右を向いても左を向いても、新聞読んでもテレビを見てもラジオを聴いても、ミンエー化一色。
 民営化病は、まるでゲリラ豪雨でした。

 私はどうして民営化に反対だったのか、というと、民営化そのものについては正直言ってよく分かりませんでした。でも、コイズミ純一郎という政治家がどうしても好きになれなかった。信用する気にならなかった、といっていい。

 米百俵の逸話を話すあたりも、なんだかスタイル先行で、“巧言令色少なし仁”の輩のように映りましたし、年金未納問題にいたって、“人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ”のせりふには、なにおかいわんや、でした。

 ついでに年金未納問題についていえば、中川昭一現財務大臣が、実に21年間も年金を納めていなかったのには呆れましたね。
 はなから納める気がない。
 年取って記憶力が少々低下しましたが、21年間未納の“21”という数字はしっかり頭にインプットされました。

 民主党の菅氏が四国行きまで追いつめられるのに、いろいろ発言のコイズミ純一郎や21年未納最長記録の中川氏が見のがされているのはなぜ? とわけ分からなかったですね。
 
 まったく、うまく逃れる術を心得ている人たちです。

 あれから、新自由主義の風が吹きすさび、人々のあえぎ声が聞こえてくるのが皆の目にも分かってきて、おまけに金融危機の襲来もあって、明らかに新聞の論調も紙面作りも違ってきましたね。

 昨日17日の朝日。

「資本主義は本質的に不安定」と岩井克人氏の寄稿文の中に、

「近年はいわば、新古典派の考える理想郷を作る壮大な実験がグローバルな規模で行われていたと考えていい。実験の正否を問うテストは、90年代後半のアジア通貨危機あたりからあり、ほころびは見えていたが、今回の危機で実験は破綻した」

 という一節も。

 今日の朝日は、元大蔵相財務官で、プラザ合意、ルーブル合意をふくむ通貨外交を担ったという行天豊夫氏が「欲望と倫理 バランス不可欠」という見出しで寄稿しています。

「冷戦に勝利したあと、ある種のおごりというか、市場が万能だとする新自由主義に基づく『ワシントン・コンセンサス」に覆われてしまった」

 という一文が見えます。

 民営化から民営化見直し。
 この転換点はどの当たりにあるのでしょうか。

 かつて、ヨーロッパはナチズムに、アジアは日本の軍国主義と国体護持運動に覆われたましたが、その時もこれと似たようなものだったのでしょうか。

 つまり、民営化に浮かれて社会の潮流がそこにあると考える人の声が圧倒的に大きく、民営化に反対を唱える人を白眼視していたのが、ある潮目を境に見直しが世の中の主流になる、ということですが。

  もちろん当時の言論統制は現代とは比べものにならないくらいでしょうから、ナチズムや軍国主義・国体護持運動の規模と程度もとても比較にならないかもしれ ませんが、それでも新自由主義の旗を振り、国民への情宣活動に大いに力になったものが、反省もなく今度は見直しの旗を振る。これには、ちょっととまどいを 覚えます。

 で、民営化推進の張本人竹中氏は、とうとう政治から違う方面に興味の対象を移したのでしょうか。

1の努力で10の成果。日本一の学習法、初公開。何を勉強したらいいのか?座標軸に書いてみると、面白いほど今の自分がわかる」というハウツーものの本を出したようです。

 ご自分の今の立場、おもしろいほどわかっているのでしょうか?

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