アソウ首相、橋下府知事、東国原県知事。

 この3人が相次いで話題に上ったここ数日のニュース。

 毎日、高給レストラン、料亭、ホテルのバーで夜の会合を続け、「庶民の感覚と懸け離れているのでは」という記者団の質問に、「(記者や警官に囲まれて)安いところに行って営業妨害と言われたら何と答える」「今聞いてんだよ。答えろ」と逆切れした方。

 テレビで懲戒請求を呼びかけた件で敗訴し、「弁護士資格を返上しては」と言われて「朝日新聞は廃業しろ、首を切れ」とまじ切れした方。

 衆院選宮崎1区での立候補を巡って煮え切らない態度を続け、「複数の県議が『すでにオオカミ少年状態』と断じているのも事実だ」「知事も含めた一連の迷走と混乱が有権者に印象づけたのは、『政治家』の言葉の軽さだけだった」等と朝日に書かれて、やっぱり切れた方。

 どうもこの3人、よく似ています。

 いずれもちやほやもてはやされてきたせいか、批判されると屁理屈をつけてやたらと怒る。

 偉い! と拍手されないと不満で、思い通りにならないと、自制できずに爆発する。

 やっと首相になれて、なってしまえばこちらのもん的なアソウ氏も、あとのおふたりも、なにか民主主義国家のリーダーとして致命的なほど、大事なものが欠落していると思う。

 また2人の知事が、ほとんど時を同じくして朝日新聞という同一の新聞を攻撃していることも、偶然ではありません。

 私の気づいた範囲ですが、特に90年代後半から、朝日、毎日の2紙に対するキャンペーンが右派の側から繰り広げられてきました。
「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」のふたつが「日本会議」という名で統合された頃にあたります。

 実はちょうどその頃、知り合いの高校生がいきなり、熱に浮かされたように歴史問題を唱え始めたのです。それも、ひとりではありません。

 彼等は口々に言いました。

 日本でいちばんいい新聞は産経新聞だ。次に読売。両方とも歴史の問題をすぐわかった。朝日と毎日にも働きかけるけど、ふたつともどうしても聞かないんだ……

 という風に、高校生たちは理解してました。歴史好きの、進学校の生徒たちでしたが。

 で、ここでいう歴史の問題とは、いわゆる先の大戦の評価に関わる、というよりも、ずばり言えば、従軍慰安婦や強制連行のことです。

 高校生たちは小林よしのり氏の『戦争論』に触発されて正義感をつのらせた上に、さらに月刊誌にも目を通し、とりわけ朝日が酷い! と憤るわけです。

 みな現在では社会の一線で活躍していると思いますが、時々私は、今もこの考えに変わりはないですか? とこっそり心の中で尋ねています。

 あの感受性の鋭い時期に出会った、それまでの価値観を180°転換させた囁きはよほど強烈だったようですが、なにしろ思考も経験もまだまだ浅いお年頃。
 高校生の主張はまったく『戦争論』とその他の月刊誌の受け売り以外の何ものでもありませんでした。

 あっ、十代ばかりか、後に出会った年輩の方、すでに年金生活に入られている方も、やはり、日本会議の機関誌『日本の息吹』の受け売り以外の何ものでもない意見で気を吐いてましたが。
 
 で、もちろん朝日新聞については、他の新聞と同様に「マスゴミ」と呼ばれても仕方ないような面もありまして、特に2005年の総選挙の際には私も大いに失望したわけですが、高校生たちが非難したのはもちろん、そうした問題に対してではありません。

 橋下・東国原両氏の朝日への怨念にも似た感情、激情ぶりは、おそらく私が経験した高校生たちの延長線上にあるものだと思います。

 しかし、仮にも大きな自治体の首長として民主主義国家のリーダーの一環をなしている方たちがとる態度ではありません。

 そういえば、日本会議に統合後の問題のキャンペーンでは、民主主義は否定されていたのではないでしょうか。

 上で述べた高校生たちは、民主主義ではダメだ、衆愚政治だから、と言いながら、ほんとうに英明なエリートが政治を司るべきだ、と言ってましたから。

 もちろん、そんな高校生たちは、自分たちもそのエリートの仲間入りをするのだ、と思っていたことでしょう。

 でも、ほんとうに英明かどうか、誰が判断するのでしょうかね。
  
 で、これはどう考えても矛盾するのではないかと思うのですが、橋下・東国原の両氏は明らかに民主主義の下で選ばれたリーダーです。(あえて、衆愚政治の下で選ばれた、とは申しません)。

 アソウ太郎氏は、そうした民主主義を否定するに疑問を呈する勢力が待望してきた首相でした。

 この方の最近の上機嫌ぶりをみると、首相になりさえすればいい、と思ってきたのではないかしら、と感じられます。

 首相になりさえすれば、ブレーン官僚がいいようにこの国を運営してくれる、と。
 後はグルメ三昧、マンガ三昧? とまでは申しませんが。

     
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