自民党高市早苗氏主導のネット規制の危うさ 高校PTA連合会会長も法案に反対
有害情報から子どもたちを守る、という大義を掲げて押し進められてきた携帯電話のフィルタリングサービスの法制化について28日に自民・民主両党が合意し たというニュースを受けて、あちらこちらのブログでも問題点の指摘から政府主導の規制に反対する声を届けようという呼びかけまで、さまざまなエントリーが 上がっています。
昨年11月、言い出しっぺの総務省が、 「未成年者が使用する携帯電話における有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の普及促進を図るため」携帯電話事業者3社(エヌ・ ティ・ティ・ドコモ、KDDI、ソフトバンク)と電気通信事業者協会に対し、自主的取組を強化するよう要請したことから一気に流れができたような感じで す。
が、今年1月末には、当の総務省が“過剰規制”がある、と問題視。
この時問題になったのが、ドコモとKDDIが採用した「携帯電話会社の公式サイトから、有害の恐れのあるサイトを排除し、残ったサイトの閲覧を許可する『ホワイトリスト』」というフィルタリングのやり方だったようです。要は、携帯電話会社が推奨するサイトしか見れない、というもの。
これにミクシィや楽天が異議を唱え、総務省は「4月をメドにフィルタリングの在り方について検討会の中間報告をまとめ、原則としてブラックリスト方式を適用するよう促していく」ということで対処。
さらに2月には総務省、警察庁、文科省連名で「携帯電話におけるフィルタリングの普及促進について」という文書を発表。
本日、総務省、警察庁及び文部科学省は合同で、インターネット上の有害な情報から子どもを保護するため、都道府県、教育委員会及び都道府県警察等に対 し、携帯電話におけるフィルタリングの普及促進について、学校関係者や保護者をはじめ住民に対する啓発活動に取り組むよう依頼しました。
というものです。
自主的規制を強化しなさい、と言いながらも自主的な強化しすぎに慌て、さらに普及促進を唱えてその啓発運動に取り組みなさい、というこの総務省のバタバタぶりも、ネットに規制を掛ける難しさを表している気がします。
こうした動きに、まるで手ぐすね引いて待っていたかのように、すかさず乗り出したのが自民党・高市早苗氏とか日本ユニセフ協会のアグネス・チャンあたりでしょうか。
そもそも、コイズミ政権時代の郵政民営化騒動の結果で、もっとも先鋭的に、もっとも確実に、現実として私たちの目の前に突きつけられているのが、衆院での自民党勢力の異様な膨張であり、それから生じる、いわゆる“ねじれ国会”でしょう。
あの異常ともいえる勢力の膨張分の一つの核が、この高市氏かな? もともと選挙にそれほど強かったわけではないですし。
そんな高市氏がテレビ出演したり、あらゆる手練手管で音頭をとって推進しているのが、ネット規制。
そう、子ども相手の携帯電話の世界だけとは限らず、大人が使うネットの世界も視野に入れられているようです。
「『自主規制では不十分』青少年ネット規制自民法案、高市早苗議員に聞く」 というNIKKEI NETの記事を読むと、そのあたりのことが分かり、怖さが実感できます。
――パソコンからのネット利用も規制の対象としています――という問に対して、
家出サイトや学校裏サイトは携帯電話からの利用が中心ですが、残虐な写真やわいせつ画像などの多くはパソコンで見ているという統計があります。放置しておくわけにはいきません。
と高市氏は答えています。さらには、
大人にもフィルタリングをかけたいということでは決してありません。大人は自分の身は自分で守るしかないですから。
と言いながらも、
大人も含めて、端末購入の際は最初からフィルタリングをすべてかければすっきりしてわかりやすいのではと考えました。利用者が大人であればその旨申請してはずせばよいだけなので、手間はかからないと思います。
と述べる高市氏。
要らぬお世話、と思わずつぶやく私。おかしいではないですか。
経済の世界では、むやみやたらと規制を撤廃して強いもののされるがままに泣く人が後を絶たないというのに、市民生活に手枷足枷をはめようとしているのは。
この方が法的規制をすべきだとする論拠は、世論調査らしい。
自民党内でも自主的な取り組みに任せるべきだという意見もあるのは確かです。ただ、実際に携帯サイトをきっかけとした犯罪が後を絶たず、昨年の内閣府の 世 論調査でも9割以上が有害情報を規制すべきと考えているとの結果が出ています。自主的な取り組みだけで100%効果があるならば、こういった結果にならな いはずです。
……
先の安倍内閣でITや科学技術の担当大臣としてインターネットを振興する立場でしたから、ここにきて世論調査で有害サイトを規制すべきとの声がこれだけ多いことにショックを受けました。こういった問題に対処できなかったことにとても責任を感じたのです。
が、この内閣府の調査も、どのような構成でどんな設問内容を設定したのか、等々、いろいろ疑問が浮かびます。
こうした問題についてはこちら、「高校PTA会長がネット規制法案に反対する理由」をぜひお読みください。
高等学校PTA連合会の高橋正夫会長のインタービューでは、以下のように伝えられています。
ネット規制を望む根拠として、出会い系サイトなどでの犯罪のほかによく利用される内閣府の「有害情報に関する特別世論調査」の結果についても懐疑的だ。
「9割以上の人が何らかの規制を望んでいる」とマスメディアで紹介されることが多いが、実態を知らずに答えてい る可能性があることは「携帯フィルタリング『強制反対派』に支持が集まらない理由」にも書いた。高橋会長は「高校生について90%はありえない。よくわか らない数字が独り歩きして『保護者の希望がこうだ』と言われても困ってしまう」と反論する。
(赤字で強調はとむ丸)
またPTA連合会が行った「デジタルメディア社会における子供の健全育成」とのタイトルでのPCや携帯について高校生、保護者の意識を調査の結果は次のようだったそうです。
アンケートには生徒3881 人、保護者2601人が回答。報告書によれば、「ネット上でいじめを受けたことがあ りますか」との質問には93.6%が「いいえ」と答えている。「もし携帯が使えないとしたらどう思いますか」という質問には半数が「それほど困らない」 「まったく困らない」と答えた。
高橋会長は「若い子がみんな同じように携帯で問題を抱えているかのように報道されたり、語られたりすることが非常に悔しい。みんなが携帯やネットを使っているわけじゃないんです」と実情を訴え、問題はメディアリテラシー教育にあると分析する。
小学生と高校3年生が同じフィルターというのはおかしいでしょう。
……
高校の教科「情報」についても、実際に授業で教えられているのは、単にPCリテラシーであって、メディアリテラシーではない。そのことを高校生も保護者も分かっていない。
……
さて、Niphoneseさんは「そもそもこの法案を作った人々は,コンピューターやインターネットについて一体どの程度の知識を持っているのか,という素朴な疑問を抱いている」と言われます。
つまり、海外サイトについて有害指定がなされた場合に,青少年のサービス利用を規制することは法的に可能なのか? また、フィルタリングソフトのPCプレインストール義務化にしても、プレインストール機を使わず、自分でOSをインストールした場合などは、規制は無意味になってしまう、といった趣旨のことを言われてます。
そういえば、以前に私は、国境なき記者団の「反体制派ブロガーのための手引き書」を訳してまとめておりますが、その気になればいくらでも“検閲”を逃れることができる、ということです。
(なお、この手引き書のまとめについては、たしかまだ最後の部分は訳してなかったと思います。それでも、いろいろと網をかいくぐって活動することはありえるのだ、と感心してしまいました)。
ただし、私たちのような一般ブロガーは、おそらくそこまで面倒なことはしないし、したくない、というのが本音でしょう。
逆に、悪意があればいくらでも暴れることができる、ということ。
現に、いろいろと対策が講じられているのに、相も変わらずスパムは後を絶ちません。
結局、規制されるのは私たち一般の国民、ということになりそうです。





