郵政民営化についての自見庄三郎氏の質問と麻生総理・中川大臣の答弁+保守化運動など
家人がつけっぱなしにしていた今日のテレビ。
たまたま、参議院本会議での自見庄三郎さんの発言に気づいて、思わずその場に腰を下ろし、最後まで聞いてしまいました。
自見さん、なかなかのグッジョブです。
総理の所信表明は強者の論理です、という言葉に始まる熱のこもった話しに対して、アソウ総理以下閣僚の方たちの答弁は、いかにもおざなり。
自見氏の真摯な問いかけにまともに答えているとはちっとも思いませんでした。
以下、自見さんの質疑です。
新自由主義経済は今や破綻しつつある、
過剰な規制も過度の放任もうまくいかない
総理は日米同盟の強化が第一だと述べている。対等な日米関係はわが国にとって最も大切な課題である。
米国大統領でどちらが勝つのか見きわめてから日本の指導者を選択するのが賢明な方法である
11年前、北海道拓殖銀行が破綻したとき、500万円入りの紙袋を下げた人たちが札幌の郵便局の前に列をなした。民に何かあればかんがバックアップする。いつもセイフティネットを用意しておく。官と民は補完し合っている。
民営化はすべて良い、というのは一種の迷信。
民営化すべきものとしないものを、国民は冷静に考えていただきたい。
ゆうちょ銀行、かんぽ生命は現在226兆円の国債を保有。2008年の3月には国債発行額の29%を占めている。
民営化の最大の目的の一つは官の金を民に流し、民の活力を増す、ということであったが、現実は民の金が国債という官に流れることになっている。
米国の金融恐慌により、竹中平蔵(ここで自見氏の声は一段と高くなる)元郵政民営化担当大臣は、テレビで、日本郵政は米国の金融機関に出資せよ、と述べている。
仮に国内の金融機関の資金が米国に流出すると、まさに10年前の金融恐慌が再現する。
現在国内の民間銀行は100兆を超える国債を有しているが、ゆうちょ、かんぽ両者からの資金流出により国債の価格が低下し、これにより自己資本が下がる。
これを補填するために貸出量を抑制、貸し渋り、貸しはがしの発生で中小企業は大打撃をこうむる構造になっている。
仮に長期金利が1%上昇すると、貸し渋りは40兆円(民間銀行の貸出総額400兆の1割)と試算されている。これが実際に起こると、住宅ローンの金利は上昇し、中小企業は再び大打撃を受け、国民生活も大きな影響を受ける。
米国の金融危機により、米国はゆうちょ、かんぽの200兆の金に目を付けることは当然考えられる。
ゆうちょ、かんぽの全部の株式を現在は政府ひとり、財務大臣が持っているが、アソウ内閣の考え一つで、この金の行方は決まる。
国民の汗の結晶である貴重な富が海外に流れる。これが、コイズミ・竹中政権が、まさに憲法違反とまで言われた選挙を強行し、郵政民営化をした真の目的ではないか。
「金融大臣にお訊きします」
ゆうちょ銀行、かんぽ社に米国から支援要請は来ているのか?
米国債の購入は許可されているが、資金が流出することを政府が認めるのか?
米国政府から要望はあっているのか?
来たらただちに公表するのか?
「このことをお尋ねいたします」
郵政民営化問題はすでに終わったというのは、とんでもないことだ。
郵政事業は、今や後期高齢者医療とともに、地域・弱者切り捨てという社会現象にすらなっている。
民営化後1年、郵政3事業を4つの民間分社化した結果、4会社はいずれも経営基盤が弱体し、とりわけ郵便局会社はゆうちょ・かんぽの業務受託料に依存する極めて脆弱な基盤に立つことになった。
このように世界でも類のない不自然な仕組みは、政治的に強行された結果、郵便局はなくしません、郵便局はもっと便利になります、このコイズミ元総理、竹中 元大臣の国会での再三の約束にもかかわらず、郵便局はすでに400を超える局がすでに閉鎖され、集配・特定郵便局は1000以上が全国で減らされた。
郵便局がなくなり、遅配も多くなった。待ち時間が長くなった。手続が煩雑になった。
不満は山積し、ゆうちょ・かんぽとも、資金の流出は止まらない。
郵便貯金はひと月に1兆円資金が流出している。
報道によれば最近、都道府県の消費者センターに郵便局関連の苦情相談が殺到していると聞いている。
福田前総理も増田前総務大臣も、郵政ネットワークは必ず維持すると国会で再三にわたって確約した。
それなのになぜか、政府はこれを無視した行動を止めさせないのか?
「野田消費者行政担当大臣にお訊きします。私の次に郵政大臣をされた人です」。
苦情殺到はほんとうですか?
苦情の数はどれほどあるか?
どう対処しているか?
郵便局における利用者の利便性は守られていると考えられているか?
このような事態に至ったのは、郵政4分社化により、各社が利用者の利益より自社の利益を優先せざるを得なくなった結果である。
拙速な郵政4分社化の体制は、早急に見直す必要がある。
民営化をごり押しした自公政権でさえも、9月23日に締結した政権合意で、ユニバーサルサービスの確保、利便性の向上のための改善を行うと謳わなければならないほど、現実は、事態は深刻になっている。
郵政民営化の動きはすでに滔々たる潮流になっている。
我が国民新党の党是であり、統一会派を組んでいる民主党では、来るべき総選挙の公約、マニフェストにあげることになった。
3党が連立で提出した「郵政株式処分凍結法案」は、この参議院では可決され、衆議院に行っているが継続審議となっている。
次の選挙では賛否について全候補がその見解を問われることになると思う。
郵政民営化の見直しは、けっして元の郵政公社に戻すというものではまったくない。
あくまで郵政各社のサービスが全国あまねく国民本位の簡便な方法でできる仕組みを再構築するものである。
郵政3事業の一体的サービスの提供を通じて、郵政事業の利便性と公益性を高め、地域社会を活性化することを目指す、真の国民のための改革を進めます。
「総理にお訊き致します」。
郵政事業の現状をどう受けとめているか?
4分社化の将来展望、特に郵便局会社について、どう考えているか?
(この後、後期高齢者医療制度に話しが移りました)
以下はこの質疑に対するアソウ総理・中川金融大臣の答弁です。
アソウ総理:米国金融危機の原因と米国経済の今後について。
今般の米国の金融危機は新しいビジネスモデル、証券化が拡大していく中で、金融機関がそのリスクを適切に管理できず、金融市場が機能不全に陥ったものである。
金融市場の規律の確保が重要と考えている。
米国では景気は弱含んでいて今後も金融市場の混乱による下向きのリスクがあることからその動向を周知していかねばならない
総選挙を、米国大統領選挙後の11月4日後にすべきとの指摘があったが、日本外交の基軸は日米同盟であること、経済・文化などの面において、日本が米国と密接な関係にあることは指摘通り。
しかしこれとわが国の衆議院総選挙をいつ行うかということはまったく別問題。
郵政事業の現状等について尋ねられたが、現在民営化各社は新規サービスの展開を始め、民営化のメリットを発揮すべく、努力をしてきていると承知しているが、地域の住民などから様々な指摘をされていることも事実。
民営化を成功させるためには特に3事業会社の窓口・接点となっている郵便局会社の経営基盤を確立することが重要と考えている。
政府としては地域住民などの指摘を受け、民営化後の状況を十分に検証するような対応をとっていきたい。
中川財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融):わが国金融機関による海外金融機関との連携等に関する質問について。
現下の金融情勢の下、わが国金融機関が海外金融機関に出資するなどの例が見られる。海外金融機関との連携を含め、どのような経営戦略をとるかについては、個々の金融機関が自らの判断で検討すべきと考えている
したがって、政府が自らの問題として答える性質の問題ではない。
いずれにしても、わが国金融機関が適切な経営管理、リスク監理の下で、状況に応じた的確な経営判断を行うことが重要である。
ゆうちょ銀行・かんぽ生命に対する米国からの支援要請等についての質問について。
個々の金融機関間のやりとりについて、政府が逐一自ら答える性質のものではない。
なお、資産の運用はゆうちょ銀行・かんぽ生命の経営判断に基づき適切に行われるべきものである。
また、支援要請があった場合に公表するかどうかも同様。
***答弁はここまで***
私としては自見氏の、米国からの支援要請等についての質問財務大臣がどのように答えるのか関心があったのですが、結局、いともそっけない答弁に終わっています。
民間企業のやることに政府は口出しはしないから、質問にも答えられない、とは郵政民営化に疑問を持つ人、あるいは反対をする人たちが一様に危惧していたことですが、その通りになってしまいましたね。
また自見氏の質疑からは、国民新党と民主党が考えている郵政民営化見直しをどのような形に持っていこうとしているのかも知ることができました。
私としては、元の国有に戻してほしいと思ってますが。
それにしても竹中平蔵氏のお粗末さ。
日本郵政は米国の金融機関に出資せよ、と大声で述べたこの方は、今の米国の金融危機を前にして、どんないいわけをするのでしょうか。
さて、自見氏が質疑の中でふれた、コイズミ・竹中政権が、まさに憲法違反とまで言われて強行した選挙の結果とよく似たパターンだな、と思ったのは、2000年米国大統領選のカンザス州での有権者の投票行動です。
貧困に喘ぐ農民や労働者の多いカンザスで、なぜ有権者の8割が大企業を優先し、イラク戦争、 経済政策、テロ対策で赤字を垂れ流す共和党のブッシュを選んだのか。
昨日も取り上げた“What the Matter with Kansas?”(『カンザスはどうなっているか?』ただし、邦訳はありません)で、トーマス・フランクさんがその謎解きをしてくれたようです。私はまだ読んでいませんが。
結果として有権者が自分で自分の首を絞めたのは、2005年9月11日のコイズミ郵政選挙と同じ。
カンザスで保守派のターゲットとなった一群の人たちは、コイズミ郵政選挙ではB層と命名された人たちとかなり重なりそうです。
また、共和党ブッシュ陣営は、2000年の大統領選では「労働者のような格好をして道徳や宗教を語っては住民の心 を捉えていった」のだそうです。
「『民 主党を支持する労働者はカーネ ル・サンダースを崇拝する鶏だ』と車にステッカーを貼ってガン・ ショーに出かける」共和党支持の労働者・農民は、9/11事件後、強硬な国際戦略を非難する 有識者たちを「売国奴のリベラル」と忌み嫌い、自ら愛国者を標榜」したのだとか。
日本の場合も、反日とか何とか等の、似たような言葉が 使われたりしていて、保守化運動は戦前回帰とか復古主義とか表現されていますが、要するに明治憲法下の疑似絶対王政制度の社会へ戻そうとする意思があっ て、それをもとに日本会議等が日常的に活動しているのだ、と私は理解しています。
日本会議はいわば右派のプラットホームのようなもので、保守の運動はそこから出てそこに帰ってくるのだとか。
そんな保守化運動の中で、道徳、家族、教育の問題等が声高に叫ばれるのは、近いところでは中山成彬前国交相の言動にも表れていますね。
(もう、政界は引退するという話しですが、あまりの醜態に、選挙区宮崎でとどめを刺されたのでしょうか?)
そして現総理アソウ太郎氏は、それまで彼を支持してきたマニアックな日本会議系の人脈・草の根会員だけでは足りないと判断し、タロウ氏本人のマンガ好きに目を付けて、アキバ系に代表される人たちにも的を絞る戦略を選びます。
日本会議系・アキバ系。
いずれも少々マニアックなところが特徴といえば特徴。
それでも、「国民的人気」があると、メディアの力を借りて、かしましいほど宣伝。
アベ・フクダの2代にわたる政権放り出しで棚からぼた餅が転がり落ちてきそうになったところで、札束攻勢をしたのか、それとも、人材の枯渇した自民党の最後の切り札と党員に思い込ませたか、とにかく4度目の正直で作戦成功。どうにか総裁の座を射止めたわけです。
アソウ氏は地方の党員票を多く取り込んだという話しでしたが、「なんとなくアソウ氏のキャラクターを支持する」層が自民党にも多いのかな? と思ったものです。
なになに、アソウ太郎氏は祖父吉田茂の薫陶よろしく、教育勅語を空んじることができる、現代ではきわめて稀有な人間ですって?
臣・吉田茂、とおじいちゃんは署名したらしいですから、アソウ氏もそのうちどこかで、臣・麻生太郎と署名するのでしょうか。


